油画|Oil Painting

クオリタティヴ・エヴィデンス
岡本 羽衣 | OKAMOTO Hagoromo

審査委員:小山 穂太郎 西 研 篠田 太郎 齋藤 芽生 清水 寛二
作品写真:クオリタティヴ・エヴィデンス

Morus

作品内容

《Morus》は、エラスムスの風刺的戯文『痴愚神礼賛』に登場する痴愚の女神「Moria 」という人の名前から着想を得た。聴衆の前で演説する痴愚の女神「Moria 」は、異常や狂気こそが人間らしさであることを主張し、当時の社会(16世紀のヨーロッパ。特に堕落し、世俗的な権力構造にあった教界、スコラ哲学者たち)を批判し、世間の人々の痴愚、狂気の姿を称え、社会を痛烈に嘲弄する。このような、人間が異常と見做し、理解し得ない他者と判断するわたしたちにこそ、自身にある「異常性」を自覚せずに、自身の暗部の領域へと追いやっていることを警告する異質な存在の象徴である。本作品は、わたしの児童期に経験をもとに、当時、出会った異常者である他者(男性、家族など)を痴愚神と重ね合わせて作品を構成し、少年、男性、女性の3つのセクションに分け、展示期間(10日間)の間、3回のパフォーマンスをおこなった。展示空間は、その行為者の痕跡と具体性が損なわれたオブジェクト群が配置された。