Sculpture

パターンの繰り返しによる無限構築―コンピュータを活用した彫刻制作―

朴 民洙

この世界は自然の法則の中に置かれている。我々が意識しようがしまいが、自然はその中に複雑性と規則性を持っている。人類は自然に対して、直観と分析を通じてその中の法則を究明しようと絶えず試みてきた。自然を対象とする探求意志は、自然の一部分としての人間に内在されている。このような意志は、存在の根源と本質に対する接近であると同時に、人間の自己確認行為ではないだろうか。自然は無限に多様な芸術の源泉であり、自然の秩序の中では造形の原理を発見することができる。
我々を取り巻いているこの世界は絶えず生成と成長、消滅を繰り返しながら動いており、その動きは、この世界が有機的生命体であることを証明している。したがって、我々が存在している宇宙は全体が巨大な有機生命体だと言える。筆者が注目した有機生命体としての自然の最も基本的な動きは回転である。地球が自転すると同時に公転する。さらに太陽系も天の川銀河の中心を軸に公転している。単純な一つの回転だけではなく、回転が積み重なって独特のパターンの軌跡を描きながら動いている。それにもかかわらず、この世界に存在している我々はその動きを全く認知していない。しかし、自然はこのような事実を反映しており、大小現象でその痕跡を現す。また、現れた痕跡は、それぞれ独立的に存在せず、相互作用によって密接な関係を結んでいる。全く関係がないと思われるいかなるものも、すべてつながっており、互いに大小の影響を及ぼしている。
我々の周りの動・植物、雲の形等ではこの宇宙の動きと似ている現象が頻繁に発見される。これは有機生命体である宇宙の大きな動きの中に存在するすべてのものが宇宙の根本的な動きの影響を受け、その構造が視覚的に具現化されたものである。筆者はこの世界の最も基本的な動きである回転を作品を通じて表現しようとし、一定周期を持つ回転運動に別の回転の動きを加えてパターンを作成し、同一パターンを一定の規則で繋げ、始まりと終わりのない、循環する構造の作品を制作した。
筆者は作品制作において規則的なパターンを作成し、それを繰り返し適用する。コンピュータとさまざまなグラフィックソフトウェアの開発は作品制作の限界を乗り超えるきっかけとなった。また、他分野との連携により多様に進化すると展望され、彫刻領域においても変化をもたらすものと期待される。
一方、この世界は相対的なもので満ちている。上と下、光と影、実像と虚像、善と悪、有限と無限などの相反する概念は同じ現象の裏面であり、どのような基準で眺めるのかに応じて異なった認識をすることができる。紙は表面と裏面がある。端に行くと境があり、その境を越えなければその裏面に到達することができない。紙の表面と裏面が互いに相反する二つの性質であり、境は表面と裏面を区分する基準となる。両端を捻って表面と裏面を貼り合わせたメビウスの帯は境があるのにもかかわらず、表と裏の区分がない。つまり、その境界の意味がなくなり矛盾した現象に合理性を付与する。筆者の作品でそれぞれのパターンは、角を境とする異なる面が存在するが、一定規則の組み合せにより一つの面と一つの角だけ持つメビウスの帯のような構造になる。これは二分法で決定論的な世界を越え、柔軟かつ相対的な世界を表現しようとしたものである。
筆者は作品制作を通じて自然の中で自分の存在と位置を理解し、それを表現しようとしており、その努力によって今後も絶えずつながっていくのである。
審査委員
木戸修 布施英利 林武史

朴 民洙

パターンの繰り返しによる無限構築―コンピュータを活用した彫刻制作―


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