Oil Painting

リサーチと相互作用の触媒としての展示のロケーション

ストッカー サムュエル

 タイトルにあるように、ロケーションは私の制作活動における主要な役割を果たしてきた。ロケーションに関する広範囲に及ぶリサーチを行い、それを個人的な体験と組みわせることにより、自分のナラティブをサイトスペシフィックな作品として形作る方法を考察する。本論文ではその過程を論じるが、アーティストの引用や抽象的で詩的な言葉で表現された自分自身の考えを通した断片的な論法をとる。複数の書体を用い、論理的で説明的な文章、アーティストの引用、自分の考えを表現する。私は失読症を抱えているため、このようなアプローチを選択した。私が世界を捉え情報を処理する方法は他の人と異なるようであり、断片的なフレーズや文章による表現の方が容易に感じる。また、このようなアプローチを取るもう一つの理由は、読者が独自の視点で本論文を理解する余地を残すためだ。この点は、物理的な作品にも当てはまる。鑑賞者独自の視点で作品を鑑賞してもらいたいと考える。
本論文を理解する助けとなるよう、マインドマップを添付した。私にとってマインドマップの作成は、情報整理に役立つ。同時に、これは私の考え方を提示する最適な方法だ。本論文の全体要素を包括するマインドマップに加え、各章にもマップを添付した。
第1章では、人生における重要な出来事について触れ、サイトに加えて個人的な経験が私の実践におけるカタリストとなってきたこと、またその出来事が作品にもたらした影響を説明する。
第2章の主要なトピックは、ロケーションだ。私自身にとってのロケーションとサイトスペシフィックの意味を定義し、それが一般的なサイトスペシフィックな概念とどのように異なるかを説明する。アンゼルム・キーファーの例を取り上げる。
 第3章では、リサーチの手法や、マーク・ロスコ、アミカム・トレン、およびマイク・ネルソンなど影響を受けたアーティストたちを紹介する。過去3年間に渡るリサーチの過程で撮影した写真も含める。
 第4章では、素材について論じる。ヨーゼフ・ボイス、アンゼルム・キーファー、ロバート・ラウシェンバーグ、ヘレン・マーティン、クレイ・カッター、ドリス・サルセド。ペドロ・カブリタ・レイスの使用した素材に言及し、日常的な素材の使用を探る。
第5 章は、主に博士課程に在籍中に制作した代表的な作品を紹介する。これらのプロジェクトが進化し、審査展に出展する作品へとつながる。本章では、私の考えが物理的な作品へと展開され、直近の作品における主要な特徴の一つである六角形にたどり着いた様子を提示する。
最終章は、博士審査展に出展する作品に焦点を当てる。修了作品展と同様に、上野公園が作品制作のカタリストとなってきたが、今回は焦点が異なる。今回注目したのは建物ではなく人だ。この視点から、リサーチや独自のナラティブが展開され、キャンパスで展示する物理的な産物が導き出された様子を説明する。
審査委員
小山穂太郎 ミヒャエルシュナイダー 保科豊巳 トムヘネガン 坂口寛敏

ストッカー サムュエル

リサーチと相互作用の触媒としての展示のロケーション


Oil Painting