Inter-Media Art

結果、そうなりつつある世界に対してくり返されるちょっとした差し水とすべての祝福について

中村 奈緒子

つねに今、ここ、あなたと私、私ともの、ものともの、ものからものへとそういうことでしか私は考えられない。言葉の意味以前に言葉そのものについてすら私はそもそも理解していなかったと知る。木というものがあり、木というものが指し示すもの表すものがあり、それを実際にこの手で木に触れ、この手で切ってみて削ってみて、曲げて継いで組んで初めて知る。ようやっとわかる。そこからだんだんと木が私の中で膨らみだして、そこに関わるものやひとが増えても来て、木と私、そしてそれ以上の可能性が開けても来る。
それはもともと、私自身が漫然となんでもわかった気になって偉そうに言葉を並べ、まるで主人かのごとくそれらをあつかってきたことへの反省からある。なんでもぼんやりと受け入れてその癖どこでも我が物顔で、数々の風景にも申し訳ないことをしてきた。
もう一度一から理解し直すにはとても時間がかかっているけれど、そして終わりは見える気がしないけれど先達の足跡に導かれいつの間にかここまできた。
そうした私の試行錯誤の道のりとその途上で得た気づきを記したものが本論考と提出作品である。
審査委員
小谷元彦 伊藤俊治 日比野克彦 小沢剛

中村 奈緒子

結果、そうなりつつある世界に対してくり返されるちょっとした差し水とすべての祝福について


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